篠山市今田町出身の下中弥三郎が創った「世界平和アピール七人委員会」の講演会がありました。
下中弥三郎没後50年の記念行事として、平成23年11月に「篠山で考える日本と世界」と題し講演会を開いてから、毎年委員の先生にお越しを頂き、大変光栄です。
昭和30年の発足当時のメンバーは下中弥三郎、湯川秀樹、茅誠司、上代タノ、平塚らいてう、植村環、前田多門というそうそうたる方々で、死亡されたりすれば、その都度、また世界的な第一人者と交代されています。
今回は宇宙物理学がご専門の池内了先生(名古屋大学名誉教授)の「福島、放射能、被曝」と題するお話でした。
原発は5重の安全防護(圧力容器や格納容器、建屋など)で絶対安全だと言われてきたが、安全でなかった。
福島では1~3号機を今も冷却水を外部から注入し冷温停止にしているが、大量の汚染水が出て、これが外に漏れ出したり、更に汚染水に地下水が混じって保存すべき量が莫大なものとなっている。
海洋にも投棄しており、とてもコントロールできていると言えるものではない。
除染作業も進まず、田んぼの表土5センチだけを除去したとしてもこれまた莫大な土を貯蔵したり処分しなければならない。
これだけの事故でありながら、誰も責任をとらず、うやむやになっている。
今再稼働を主張する人たちも責任を覚悟しているとは思えない。
原発事故は、何人死亡したというものでなく、何十万人もの多くの人がふるさとを追われ、長期間にわたり、生活できなくなる苦痛を与え続ける事の深刻さにある。
篠山市は高浜・大飯の原発から43~60キロにあり、安定ヨウ素剤の予防服用することが必要だ。
原子力規制委員会は、30キロ以上は屋内退避で、安定ヨウ素剤不要としたが、科学的根拠に基づいたものでなく、現実に国内すべての30キロ以上の住民に配布ができないからにすぎない。風向きによっては50キロ以上でも、多くの量が飛んでくるので、市としても市民の安全を守る必要がある。
科学者、技術者は、これまた良いことばかり言って弱点を言わなかったことを反省している。
また時間が経って、原発の危険性への意識が薄らいでいくことが心配です。
なお、前日、私は池内先生に宇宙のことをお尋ねしました。
「地球最後の日が考えられるのは、太陽が寿命で膨張し、その熱で地球が溶けてしまうことになる。あと50億年先である。
もう地球も寿命の半分くらいたっている。
アメーバのような生命体がいる星は、いくつもあると思われるが、ヒトのような奇跡の進化を遂げることは、地球のあと50億年という単位では考えにくい。
だから、生命が宿ることのできる光、水、空気に恵まれた今の地球の環境がどれほど奇跡的で大切であるかを知ってほしい。」
▲地球物理学の池内了先生